風にまかせてシャベリン

独学で英語を喋れるようになるための学習方法

手術を無事終えて退院できました

シャベリンです。

大腸がんのため、8/1に入院、8/3に手術して、8/12に無事退院することができました。進行度を表すステージもⅡaとⅡの中でも一番軽い状態で、腸管につながる血管、リンパ管、リンパ節への転移もしておらず、再発防止のための化学療法(抗がん剤治療)も不要となりました。また、術後の便通も良好で日々健康のありがたさを実感しながら生活しているところです。

~~ ICUでの出来事 ~~

「○○さーん、○○さーん」

誰かが耳元の近くで何度も名前を呼びかけるのが聞こえた。うっすらと目を開けると、白装束、いや白衣を着た数名の看護師さんが見えた。周囲にはお花畑も川の流れも見当たらず、ベッドの向こうには病院の事務所らしきものが見えた。そして右上の奥の方に見える丸くて白い影掛け時計の針は3:15を示していた。手術は9:00にスタートしたから6時間近く全身麻酔で意識がなかったことになる。

「数を数えますから、1の数字が聞こえたら手を握り締めてくださいね。4、3、2、1...3、2、1、4... 1が聞こえる度に看護師さんの手を握り締めた。手を握り締める度に、触れ合う手のぬくもりと自分の意志を伝えられることの喜びを感じていた。術中に長時間、酸素吸入器を喉に挿入していたため声が出ずらいからだ。そして腹部右下の傷口に少し痛みを感じていたが、やり過ごせる程度の痛みであった。多分、点滴から投与されている痛み止めが効いているのであろう。

~~ ロボット支援下手術 ~~

大腸の左下にあるS状結腸にがんが見つかったのですが、今回、このS状結腸がんの切除にロボット支援下腹腔鏡手術という最新の医療技術が適用されました。このロボット支援下腹腔鏡手術(ダ・ヴィンチ手術)は従来の腹腔鏡手術をさらに進化させ、患者の負担(侵襲)が少なくなるように開発された最新の低侵襲技術です。

ビデオカメラで体の中を観察し、鉗子と呼ばれる複数の手術器具で手術する点については、これまでの腹腔鏡手術と変わりありませんが、ダ・ヴィンチ手術では、術者が鉗子を直接握るのではなく、患者の隣に置かれたコンソール(コックピット)に座り、アームを操作することで手術を行います。術者の手の動きが、リアルタイムに鉗子先端の動きとして再現され、精密な手術が行われます。

従来の腹腔鏡手術の鉗子は曲がらないため直線的な動きしかできませんでしたが、ダ・ヴィンチの鉗子には多数の関節が付き、鉗子の自由度が上がったことにより人間の手のような複雑な動きが可能です。手ぶれ補正機能もあり、長時間の手術での手の痺れによる手ぶれも防いでくれます。

またダ・ヴィンチの特徴として3D視野(立体視)があり、右目と左目の両方から視野を得ることが可能であり、3D視野(立体視)による正確な位置情報に基づきながら、操作を行うことができます。

近年、ロボット支援下手術は、様々な臓器の手術に適用されており、2018年に「直腸がん」、2022年に「結腸がん」が保険適用となり、全ての大腸がんの患者に保険適用が拡大されました。また、健康保険には「高額療養費制度」があり、1ヵ月の医療費の自己負担額が一定額を越えた場合に、申請を行うことで加入する健康保険から「超過分」が払い戻されるのですが、さらに前もって健康保険に「限度額適用認定証」を申請しておけば、払い戻しではなく病院窓口で所得に応じた自己負担額の支払のみに抑えることができます。シャベリンも病院の方で「限度額適用認定証」の申請手続きをしていただいたので、退院時には少額の医療費の支払いのみで済みました。

~~ 一般病棟での出来事 ~~

手術とその翌日までは絶食で水すら飲ませてもらえなかったが、術後2日目に初めて流動食として「重湯」と「くず湯」をいただいた。一口飲んだ時に「なんて美味しいんだろう」という感動と共に「生きているってこういうことなんだ」って気づかされた。その後も3分粥、5分粥と段階的に流動食から粒ありの食材が増えていき、一品ずつ味わって食べる度に食べられることのありがたさとそれぞれの食材の味わい深い旨みを感じていた。

術後4日目に尿道に入っていた管が抜かれ、5日目に肛門に入っていた管と点滴も抜かれた。手足が自由になり、トイレも自由に入れて、病棟の廊下を何往復もウォーキングできるようになった。7日目には、廃液の管が抜かれて、先生から退院できることを告げられた。身体的な不自由さと食事制限から解放されて、自由に動ける、何でも食べられる、こんな当たり前の事が当たり前じゃなかったことに感動し、手術を行ってくれた先生やナースコールで呼ぶ度に文句も言わずオムツを替えてくれた看護師さんたちに感謝の気持ちでいっぱいになった。

~~ 限りある人生、悔いのないように生きる ~~

内視鏡カメラで初めて自分のがんを見たとき、正直、自分のことのように思えず、フィクションなのか悪夢を見ているのか不思議な感覚でした。思えば、年初から下痢気味ではありましたが、20代の頃にストレスからくる過敏性腸症候群も経験しているし、冬場はお腹が冷えるので還暦を過ぎたのだから仕方ないかくらいに考えていました。

大腸がんの発生要因と考えられている、喫煙、飲酒、赤身の肉を食べるなどのどれにも当てはまらず、肥満も3年前に睡眠時無呼吸症候群CPAP(吸入器)による治療で84kgから74kgまで減量させており、該当するのは運動不足くらいです。自覚症状もほとんどなく最近になって下痢を繰り返したり便が細いことに少し違和感を感じていたくらいでした。

今回、近隣の消化器内科で初めて内視鏡カメラでの検査を受けたとき、血液検査の結果も合わせて出たのですが、血糖値が300を超えていて糖尿病にもかかっていると診断されました。ただ嬉しいことに入院期間中に血糖値は110以下の正常値に戻っていました。糖尿病があるとがんにかかりやすくなるそうですが、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きが低下すると、それを補うために血中のインスリン濃度が高くなり(高インスリン血症)、がん細胞の増殖を促す作用があるそうです。肥満や運動不足によっても高インスリン血症が引き起こされるのでこれが要因になっているのかもしれませんね。

自分の目には見えないところで密かに増殖し、自覚症状もほとんどなく、症状が出たときには手術でしか切除できない進行がんになっていて、リンパ節やその他の臓器に転移していれば、5年以内の生存率が著しく低下する大腸がん。

生まれて初めて手術を経験して人生は限りがあるんだと痛感したし、日々健康に暮らしていけることのありがたみを感じています。そして、明日何が起こっても、やり残したことがないと思えるように、楽しく、面白く、チャレンジしたり、笑ったり、泣いたり、感動したり、人々と触れ合ったり、過去を振り返ることもなく前向きに精一杯生きていこうと思っています。


shabeling.hatenablog.com

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